サステナブルWebデザインとは?ユーザー本位のUI/UXと長く使えるサイト設計

動く、驚かせる、没入させる。AIを使えば、ホームページの中をキャラクターが歩き、街の看板を調べるとメニューが出てくるような表現も作れるようになりました。
技術としては、とても面白いものです。ただ、面白いことと、訪問者にとって役に立つことは同じではありません。
天気予報を確認したいだけなのに、情報を隠されてゲームを強制されたらどうでしょう。訪問者が商品やサービスを知りたい、実績を確認したい、問い合わせたいと思っているなら、ホームページの演出がその目的を邪魔してはいけません。
この記事では、サステナブルWebデザインを環境負荷だけの話に限定せず、ユーザー本位のUI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)と共通する考え方として整理します。3Dやアニメーションを否定するのではなく、いつ使う価値があり、いつ控えた方がよいのかを考えていきます。
サステナブルWebデザインは、環境だけの話ではありません
サステナブルWebデザインという言葉から、サーバーの消費電力や画像の軽量化だけを思い浮かべるかもしれません。もちろん、不要に重い画像やスクリプトを減らすことは大切です。
ただし、長く使えるWebサイトを考えるなら、環境への負荷だけでは足りません。訪問者が必要な情報へたどり着けるか、事業者が無理なく更新できるか、公開後も改善を続けられるかまで含めて考える必要があります。
W3CのWeb Sustainability Guidelinesでも、サステナビリティはパフォーマンスだけでなく、ユーザー体験、アクセシビリティ、情報設計、運用などと関係するものとして扱われています。
| 視点 | 考えること | ホームページでの例 |
|---|---|---|
| ユーザー | 目的を達成しやすいか | 必要な情報、導線、読みやすさを整える |
| 環境 | 不要な通信や処理を増やしていないか | 画像、動画、スクリプトを必要な範囲に抑える |
| 事業 | 公開後も使い続けられるか | 更新性、保守性、改善しやすさを確保する |
この3つは、別々の課題ではありません。必要な情報を分かりやすく整理すれば、訪問者の迷いが減り、不要なページ移動や再読み込みも減らせます。更新しやすい構造にしておけば、古い情報を放置しにくくなり、作り直しの頻度も抑えられます。
ユーザー本位のUI/UXと共通する4つの考え方
UIは、ボタンやメニュー、入力欄など、ユーザーが見て操作する部分です。UXは、サイトを使う過程で感じる分かりやすさや安心感、目的を達成できたかという体験全体を指します。
サステナブルWebデザインとユーザー本位のUI/UXには、次のような共通点があります。
1. 目的を先に決める
最初に考えるのは、どのような演出を入れるかではありません。訪問者が何を知り、どの行動へ進めればよいのかです。
サービスの内容を知る、料金の目安を確認する、事例を見る、見積もりを相談する。サイトの目的が決まれば、必要なページや情報の順番も決めやすくなります。目的が曖昧なまま演出を足すと、見た目だけが先行してしまいます。
2. 迷いと負担を減らす
ユーザー本位の設計は、訪問者に多くの操作を求めることではありません。今どこにいるのか、次に何をすればよいのか、戻るにはどうすればよいのかが分かる状態をつくります。
読み込みを待たせる、画面を動かし続ける、メニューを隠す、目的の情報へ複数回クリックさせる。こうした設計は、演出としては成立していても、ユーザーの負担を増やすことがあります。
3. さまざまな環境で使えるようにする
訪問者が高性能なパソコンや高速な回線を使っているとは限りません。スマートフォン、通信量に制限のある回線、古い端末、キーボード操作、動きが苦手な人など、さまざまな利用環境があります。
重要な情報をアニメーションの完了後にしか表示しない、動きを止める手段がない、マウス操作を前提にする。こうした状態では、伝えたい内容が届く前に離脱される可能性があります。
4. 公開後の運用まで考える
公開日は完成の日ではありません。営業時間、料金、サービス内容、実績、問い合わせ先は、事業の変化に合わせて更新されます。
制作時だけ動く複雑な仕組みを入れても、担当者が更新できなければ、時間とともに負担になります。事業者が内容を確認し、必要な部分を修正できることも、長く使えるWebサイトの条件です。
サイトの役割や必要なページを先に整理する考え方は、ホームページの構成とシングルページの判断基準でも説明しています。
3Dやアニメーションは、使うこと自体が悪いのではありません
3Dやアニメーションには、情報を理解しやすくしたり、商品への関心を高めたりする力があります。立体的な製品を見せる、空間を案内する、ゲームやイベントの世界観を体験してもらう。目的と表現が一致していれば、強い効果を発揮します。
問題になるのは、訪問者が達成したい目的を、サイトオーナーが見せたい体験で上書きしてしまう場合です。
訪問者は、あなたのホームページで遊ぶために来たのではありません。商品を知りたい、サービスを比較したい、安心して問い合わせたい。その目的を達成するために来ています。
例えば、キャラクターが3Dモデルの街を歩き、看板を調べるとメニューが開くホームページがあるとします。世界観を楽しむこと自体がサービスなら、意味のある導入です。
しかし、会社概要やサービス内容を確認したい人まで、その街を歩かされる必要があるでしょうか。目的の情報がどこにあるか分からず、スキップもできないなら、ユーザーにとっては「体験」ではなく「迂回」です。
演出を入れるかどうかは、制作者やオーナーが面白いと思うかではなく、訪問者の目的に役立つかで判断します。
3D・アニメーションが役立つケースと、控えた方がよいケース
| 役立つ可能性が高いケース | 控えるか、別の導線を用意したいケース |
|---|---|
| 製品の形状や構造を見せる必要がある | 会社情報やサービス内容を早く確認したい |
| ゲームやイベントなど体験そのものが商品である | 問い合わせや予約までの手順が複雑になる |
| ブランドの世界観を理解することが選択理由になる | 重要な情報が演出の完了後にしか表示されない |
| 演出を止めても、主要な情報と導線が残る | スマートフォンや通信環境によって利用しにくい |
右側に当てはまるからといって、必ず失敗するわけではありません。ただし、演出を採用する前に、直接アクセスできるメニュー、スキップ手段、静止した代替表示、主要情報への別導線を用意する必要があります。
演出を残すことが目的になり、訪問者の目的達成を遅らせるようなら、演出の範囲を見直すべきです。
演出を採用する前に確認したい5つの質問
3Dやアニメーションを提案されたとき、技術の新しさだけで判断する必要はありません。次の質問に答えられるかを確認してください。
- 訪問者は、サイトを開いて最初に何を知りたいのか
- この演出は、情報の理解や判断を具体的に助けるのか
- 演出を見なくても、主要な情報と問い合わせ導線へ進めるのか
- スマートフォン、低速回線、キーボード操作、動きを止めたい人にも使えるのか
- 公開後に、事業者が無理なく更新・修正・改善できるのか
特に重要なのは、2つ目と3つ目です。「すごい」「新しい」「他にない」という説明だけでなく、訪問者の判断にどのような価値を加えるのかを確認します。
ホームページの設計では、訪問者が関係性を感じ、内容を理解し、信頼し、行動するまでの流れも考える必要があります。問い合わせや購入までに越える判断の段階については、4つのハードルを設計する考え方で整理しています。
hakubi codeは、足す前に役割を考えます
hakubi codeでは、派手なデザインや新しい技術を一律に否定していません。事業の特徴や訪問者の目的に合うなら、必要な表現として提案します。
一方で、依頼者が面白いと思う演出を、そのまま訪問者へ体験させることが正解とも考えていません。事業内容、見込み客の不安、問い合わせまでの導線、公開後の運用を確認し、役割のあるものだけを残します。
これは、ホームページの見た目を地味にするという話ではありません。情報の優先順位を明確にし、必要な箇所へ適切なデザインや動きを使うという話です。静かなページでも、事業に合った写真、見出し、余白、文字の組み方によって、印象に残るサイトは作れます。
公開後に問い合わせが増えない場合も、原因は演出の有無だけではありません。流入、訴求、情報の順番、信頼材料、問い合わせ導線を分けて確認する必要があります。ホームページから問い合わせが増えない原因も、サイト全体の判断材料としてご覧ください。
まとめ
サステナブルWebデザインは、環境負荷を抑えるだけの考え方ではありません。訪問者が目的を達成しやすく、事業者が無理なく運用でき、必要な期間にわたって改善を続けられるサイトを考えることです。
3Dやアニメーションは、目的に合えば有効です。ただし、ホームページの主役は演出ではなく、訪問者が知りたい情報と、事業者が届けたい価値です。
「何を足せるか」から始めるのではなく、「訪問者が何を必要としているか」から考える。これが、ユーザー本位のUI/UXとサステナブルWebデザインに共通する基本姿勢です。
ホームページの新規制作、リニューアル、部分改善で、どのような構成や表現が適切か迷っている場合は、hakubi codeのサービスをご確認ください。相談内容が整理できていない段階でも、お問い合わせフォームからご相談いただけます。

