【比較】SWELLとEmanon Premiumどっち?プロが教える「選び方」の結論

こんにちは。hakubi code 代表のてらだです。
ご自身のビジネスやブログのために、これからWordPressテーマを選ぼうとしているあなた。評判の良い「SWELL」と、ビジネス特化型の「Emanon Premium」のどちらにするか、比較検討中ではないでしょうか。
検索して機能一覧を見ても、結局のところ自分のやりたいことに対してどちらが最適なのか、表示速度やLP機能、多言語対応といった細かな違いが運用にどう影響するのか、判断するのは難しいですよね。特に受託制作を考えている方にとっては、ライセンス周りの規約も見落とせません。
この記事では、両方のテーマを実務で使い倒してきた私が、カタログスペックだけでは分からない「現場での使い勝手」と「ビジネスへの貢献度」について、本音で解説します。
- SWELLとEmanon Premiumの決定的な設計思想の違い
- 集客に直結するLP機能やSEO対策の具体的な差
- 受託制作において絶対に知っておくべきライセンスの落とし穴
- あなたのビジネスモデルに最適なテーマの選び方
ここから先は、SWELLとEmanon Premiumの比較において、特に重要なポイントを深掘りしていきますね。
【機能編】設計思想と得意分野の違い

まずは、サイト運営の根幹に関わる機能面での違いを見ていきましょう。どちらも素晴らしいテーマですが、目指しているゴールが少し異なります。
デザイン:SWELLの「美学」とEmanonの「信頼」

Webサイトの第一印象を決めるデザインですが、SWELLとEmanon Premiumでは得意とする雰囲気が明確に違います。
SWELLは「引き算の美学」です。余計な装飾を削ぎ落とし、現代的でフラットなデザインがデフォルトで完成されています。美容室、カフェ、テック系ブログなど、柔らかさや親しみやすさを出したいBtoC(一般消費者向け)のサイトには最適です。カスタマイザーのプレビュー画面を見ながら直感的にヘッダーや配色をいじれるので、デザインの専門知識がない方でも「それっぽい」サイトがすぐに作れます。
一方、Emanon Premiumは「足し算の信頼感」と言えます。ファーストビューで動画やスライダー、パーティクル(幾何学模様のアニメーション)などを駆使し、企業の信頼感や重厚感を演出するのが得意です。特にBtoB(対企業)のコーポレートサイトや、士業、コンサルタントといった「信頼」が商品のビジネスにおいて、その威力を発揮します。少し設定項目は多いですが、カチッとしたビジネスサイトを作りたいなら、Emanonのグリッドデザインは非常に強力です。
SWELLでもCSSを書けばビジネスライクにできますが、Emanon Premiumは「標準機能」だけでそのレベルに到達できるのが強みです。
SEO・速度:どちらも高速だが「調整幅」に差

SEO(検索エンジン最適化)において、ページの読み込み速度や安定性は検索順位に影響する重要な要素です。結論から言うと、この点においてどちらも国内最高水準の速さを持っています。
(出典:Google 検索セントラル『Core Web Vitals と Google 検索の検索結果』)
SWELLは、ページ遷移を爆速にする「pjax」という技術(現在は非推奨の場合もあり)や、優秀なキャッシュ機能を搭載しており、体感速度は驚くほど軽快です。Google PageSpeed Insightsのスコアも、特別な設定なしで高得点が出やすいのが特徴です。
対するEmanon Premiumも負けていません。こちらはjQueryの読み込み制御や、使用していないCSS/JSの遅延読み込みなど、玄人好みの詳細な高速化設定が可能です。設定さえ詰めれば、リッチな機能を盛り込んでも90点台後半をキープできます。
SEO内部対策に関しては、構造化データの出力などに差があります。より細かく設定してGoogleに情報を伝えたい場合はEmanonに分がありますが、コンテンツの質で勝負するならSWELLでも全く問題ありません。EmanonのSEOに関する具体的な強みについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

LP機能とCTAによる集客効果の違い

ここがビジネス利用における最大の分かれ道です。「商品を売りたい」「リストを集めたい」という目的がある場合、どちらも優秀なLP(ランディングページ)作成機能を持っています。
SWELLにも「LP」という専用の管理メニューが標準搭載されています。Emanon Premiumの「セールス」と同様に、ブログ記事とは完全に切り離してLPを管理・作成することが可能です。
つまり、「LPの作りやすさ・管理のしやすさ」においては、両者に大きな差はありません。 どちらもヘッダーやフッターをワンクリックで非表示にでき、ブロックエディタで自由にコンテンツを積み上げていけます。
では、あえてビジネス視点で差をつけるならどこか。それは「PC閲覧時の追従CTA」と「ビジネス用ブロック」の有無です。
- PC閲覧時の追従CTA:
スマホ画面下部に固定されるボタンは両者とも標準装備ですが、Emanon Premiumは「PC画面の右下や左下に追従するCTA」も標準で設定できます。BtoBなど、PCでの閲覧が多いビジネスでは、この差がコンバージョン数に直結します。 - 用意されているブロック:
SWELLは汎用性が高く、どんなデザインも作れる「キャンバス」です。対してEmanonには、「アワード」や「価格・料金」といったビジネス用ブロックが初期装備されており、SWELLで自作する手間を省ける分、構築スピードはEmanonが早いです。
| 機能 | SWELL | Emanon Premium |
|---|---|---|
| LPの管理 | 専用メニュー「LP」あり | 専用メニュー「セールス」あり |
| LPの作り方 | ブロックエディタ(自由) | ブロックエディタ(自由) |
| PC用追従CTA | なし(プラグイン等で対応) | あり(標準機能) |
| 計測機能 | SWELLボタンのクリック数 | CTAごとの表示・クリック数 |
結論として、LP機能の基礎能力はどちらも非常に高いです。「PCユーザーの取りこぼしを防ぎたい」「最初からビジネス用パーツが欲しい」というニーズがあるならEmanon Premium、そうでなければ使い慣れた操作感のSWELL、という選び方が正解です。
多言語化:海外展開を見据えるなら一択

もし将来的にサイトを多言語化(英語や中国語など)したいと考えているなら、選択肢はEmanon Premium一択に近くなります。
Emanon Premiumには、多言語サイト用の設定項目があり、言語ごとに異なるURL構造(例: /en/)を作った際に、Googleに対して「これは英語版のページですよ」と伝えるためのタグ(hreflang)を自動で出力してくれます。これがないと、海外向けのSEOで苦戦することになります。
SWELLにはこの機能が標準ではありません。多言語化プラグイン(Polylangなど)を入れることで対応は可能ですが、設定が複雑になったり、テーマとの互換性を検証したりする手間が発生します。
エディタ:「制作する楽しさ」はSWELLが圧倒的

コンテンツ作成において、エディタの使い心地はモチベーションに直結します。この点に関しては、SWELLが圧倒的に優秀です。
開発者さんが「執筆体験」に徹底的にこだわっているだけあって、マウス操作だけで装飾ができたり、段落ごとの余白調整が直感的にできたりと、書いていてストレスがありません。「書くのが楽しくなる」というのは、継続するための最大の武器です。
Emanon Premiumもブロックエディタに対応していますが、設定項目が多い分、SWELLほどの軽快さや直感性は少し薄れます。「ビジネス文書を組み立てる」感覚に近いかもしれません。Web制作の初心者さんが初めて触るなら、SWELLの方が挫折せずに済むでしょう。
SWELLを使ったノーコード制作の簡単さについては、こちらの記事も参考にしてみてください。

【運用編】コスト・ライセンス・選び方の基準

機能の違いが見えてきたところで、次はコストや運用、ビジネスリスクの観点から「どちらを選ぶべきか」を深掘りしていきます。
受託制作時のライセンス規約と注意点

Web制作会社やフリーランスの方がクライアントワークでこれらのテーマを使う場合、ここが最も注意すべきポイントです。「100% GPLだから何をしても自由」と思い込んでいると、後々クライアントに迷惑をかける可能性があります。
SWELLの場合:
利用規約上、制作者が管理権限を持ち、アップデート環境を維持できる場合(保守契約を結んでいる場合など)は、制作者自身のライセンスで認証(代理認証)を行うことが可能です。
ただし、保守契約が終了するなどして制作者が管理できなくなる場合は、クライアントにSWELLを購入してもらう必要があります。トラブルを避ける最も安全な方法は、最初からクライアントに直接購入してもらうことです。
Emanon Premiumの場合:
ここには大きな誤解があります。「受託制作には毎回3万円かかる」と思っている方も多いですが、実際はもっと柔軟です。
- サポートを利用しない場合: 追加費用は一切かかりません。初回購入費だけで、無制限にクライアント案件で利用可能です。
- サポートを利用する場合: 制作者が公式サポートに質問したい場合に限り、「受託制作ライセンス(3万円/サイト)」が必要です。
つまり、Emanonの仕様を熟知していて自力で構築できるプロであれば、追加コストゼロで何度でも商用利用ができるという、実は非常にコストパフォーマンスの高いライセンス形態なのです。
価格差1万円の価値はあるか?トータルコスト比較

価格を見ると、SWELLは17,600円(税込)、Emanon Premiumは27,800円(税込)です。約1万円の差がありますね。
「Emanonは高い」と感じるかもしれませんが、Emanonに含まれている「多言語機能」「高度なCTA管理」「カスタム投稿タイプ(求人やセミナー情報など)」を、SWELLでプラグインを組み合わせて実装しようとすると、有料プラグインが必要になったり、開発工数が跳ね上がったりします。
ビジネスに必要な機能がオールインワンで入っていることを考えれば、Emanon Premiumのコストパフォーマンスは決して悪くありません。逆に、ブログ機能だけで十分ならSWELLの安さは魅力的です。Emanonの価格については、下位モデルとの比較記事も参考になるかと思います。

サポート:ユーザーフォーラム vs メール対応

困ったときの助け舟も重要です。
SWELLには活発な「ユーザーフォーラム」があり、過去の質問を検索すれば大抵のことは解決します。ユーザー数が多いので、Google検索で個人のブログ記事がたくさんヒットするのも安心材料です。
Emanon Premiumは、メールによるサポートが基本です(プランによります)。ビジネスライクに対応してくれるため、フォーラムで質問するのが恥ずかしい、あるいは公にしたくない企業担当者にとっては、クローズドな環境で相談できるメリットがあります。
タイプ別診断:あなたに向いているのはどっち?

ここまでの話を整理して、タイプ別のおすすめをまとめます。
SWELLがおすすめな人:
- ブロガー、アフィリエイター
- 美容、サロン、個人のポートフォリオサイト
- Web制作初心者で、まずは簡単に綺麗なサイトを作りたい人
- 執筆のしやすさを最優先したい人
Emanon Premiumがおすすめな人:
- BtoB企業、コンサルタント、士業
- リード獲得(お問い合わせ、資料請求)を最大化したい人
- 求人情報やセミナー情報を効率よく管理したい人
- 多言語サイトを作る予定がある人
結論:ゴールから逆算して「相棒」を選ぼう

SWELLとEmanon Premiumの比較をしてきましたが、最終的な最適解は「あなたのサイトが何をゴールにしているか」に尽きます。
「ファンを増やして記事を読んでもらいたい」なら、読み心地と書き心地の良いSWELL。「仕組みを作って見込み客を獲得したい」なら、集客装置としてのEmanon Premium。どちらも日本のWeb事情に合わせて作られた、素晴らしいプロダクトであることは間違いありません。
もし、「自分のビジネスにはどっちが合うのかまだ迷っている」「選んだテーマで最大限の効果を出せるサイトを作りたい」と思われたら、ぜひ一度 hakubi code にご相談ください。あなたの事業戦略に合わせた最適なテーマ選定から、集客できるサイト構築まで、プロの視点でサポートさせていただきます。
